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偉大さとは何だ Rightly to be great :シェイクスピアの悲劇「ハムレット」 |
ハムレットの四大独白の最後は第4幕第4場で発せられる。ハムレットは彼を疑う国王によってイギリス行きを命じられる。イギリス王にはハムレットを殺害するようにとの密書が届けられる。国王はこの際ハムレットを体よく殺してしまおうと決心しているわけである。 そんな国王の本心をハムレットも感じていないわけではない。彼は同行を命じられたギルデンスターンらとともに、イギリス行きの船に乗ることになるが、船の中で一計を案じ、ひとりデンマークに戻った上で、国王への復讐を遂げようと決心する。 この独白は、いざイギリスへ向かうという段になって発せられるものだ。船に乗る前にハムレットらは、フォーティンブラスの軍がデンマークの野原を通り過ぎる光景に出会う。それを見たあとでハムレットは長々と独白の言葉を続けるのだ。 なにもかもがためらいがちな俺を攻め立て 復讐へと駆り立てる! 人間とは何だ ただ寝て食うだけに暇をつぶしているのなら ただの畜生とかわりはせぬ 人間に前後をわきまえる知恵を与えてくださった神も その知恵が使われずにすむようにと 神のごとき能力を授けてくださったわけではあるまい なのに俺ときたら 忘れてはばからないのは獣並み あれこれといいわけを見つけては 臆病風に吹かれてなにもしないでいる有様だ 人間の考えることで知恵のある部分は4分の一 残りの4分の3は臆病風だ にもかかわらず「せねばならぬ」などと大言壮語する 大儀も意思も力も手段も事欠かぬにかかわらず 何もしないでいる連中がうじゃうじゃしておる ・・・ 偉大さとは何だ それは軽挙妄動することではなく 自分の名誉がかかっていると思えば わらしべ一本のためにも命をかけることだ ところが俺ときたら父親を殺され母親を辱められ 理性と情熱をたぎらせて戦うべきだというのに ただ惰眠をむさぼっているだけではないか How all occasions do inform against me, And spur my dull revenge! What is a man, If his chief good and market of his time Be but to sleep and feed? a beast, no more. Sure, he that made us with such large discourse, Looking before and after, gave us not That capability and god-like reason To fust in us unused. Now, whether it be Bestial oblivion, or some craven scruple Of thinking too precisely on the event, A thought which, quarter'd, hath but one part wisdom And ever three parts coward, I do not know Why yet I live to say 'This thing's to do;' Sith I have cause and will and strength and means To do't. Examples gross as earth exhort me: ・・・ Rightly to be great Is not to stir without great argument, But greatly to find quarrel in a straw When honour's at the stake. How stand I then, That have a father kill'd, a mother stain'd, Excitements of my reason and my blood, And let all sleep? |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007-2010 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |