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シェイクスピアの悲劇:ハイライト部分の翻訳と解説


シェイクスピアが登場したころのロンドンは、北方ルネサンスの余波を受けた形で、演劇にも新しい波が押し寄せていた。演劇は庶民的な基盤を持った新しい芸能運動として、大きな広がりを見せつつあった。そういう時代状況があって、シェイクスピアのような人間が、活躍の場を与えられ、才能を開花させたという面は指摘できる。

シェイクスピアが登場したころのロンドンの演劇は、歴史劇と喜劇(滑稽劇)が主流だったようだ。シェイクスピアもまた、歴史劇から出発し、ついで喜劇も書くようになった。悲劇については、これといった明確な定義はなく、悲劇を標榜するような作品も殆どなかったようだ。シェイクスピア自身、最初から悲劇を意識して書いたわけでもなさそうである。悲劇の模範としてはギリシャ悲劇があげられるが、シェイクスピアを含めてロンドンの演劇がギリシャ悲劇から直接的な影響を受けた形跡はない。

今日シェイクスピアの悲劇作品と呼ばれるものを、シェイクスピアは最初から悲劇として構想した訳ではなく、歴史劇の延長として書いたようである。歴史劇の場合には、実在の人物を登場させて、歴史上に実際起ったとされる事件や事柄を描いたわけだが、シェイクスピアは、歴史劇の体裁をとりながら、架空の人物を登場させ、歴史的な事実とは異なった想像された世界を描いた。こうした作品群を、歴史劇と区別するために、悲劇という言葉が使われるようになったのだろう。

それ故、シェイクしピアの一連の悲劇は、彼の歴史劇と共通する雰囲気を持っている。そういう意味ではシェイクスピアは、歴史劇を足掛かりにして、悲劇という新しいジャンルを開拓したのだと言える。

シェイクスピアの悲劇といえば、今日四大悲劇と言われるものを中心に、シェイクスピア劇の中でも、最も高い人気を誇っている。四大悲劇に限っても、テーマ設定や人物の描き方にそれぞれ特色があり、非常に多彩でかつ考えさせるところも多い。そうしたところが、シェイクスピアの悲劇を今日でも色あせないものにしている大きな要素なのだろう。ここではシェイクスピアの悲劇作品それぞれについて読みこんで行き、批評と解説を加えたい。


 ロメオとジュリエット Romeo and Juliet

 ジュリアス・シーザー Julius Caesar

 ハムレット Hamlet

 トロイラスとクレシダ Troilus and Cressida

 オセロ Othello

 リア王 King Lear

 マクベス(Macbeth)

 アントニーとクレオパトラ Antony & Cleopatra

 コリオレイナス Coriolanus




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